07年9月議会の一般質問全文
議員になって2回目の一般質問に立たせていただきました。今回は2日目の3番目に登板です。
質問前は45分ぐらいかかるかなぁと思っていましたが、実際やってみると30分で終わってしまいました。時間が読めないのは、まだまだ慣れていない証拠です。
今日の質疑の議事録を記します。なお、これは原稿ベースで、速報版です。実際の議事録は若干異なることをお含み置きください。正規は後に発行される議事録に拠ります。
《質問》
こんにちは。民主クラブの山本忠相です。
先の6月定例会において、初めて質問をさせていただき、今回が2回目となるわけですが、質問させていただく前に、去る8月18・19日の両日、和歌山城を中心に市内各地で行われました「第4回紀州よさこい祭り」におきまして、市当局の皆様には多大なるご協力を賜りましたことを、関係者の一人として心からお礼申し上げます。
さて、9月1日は防災の日、8月30日から9月5日までは防災週間でありました。また9月9日は救急の日、15日までが救急医療週間です。議長のお許しをいただきましたので、防災対策と救急体制について、質問をさせていただきます。
まずは防災対策についてです。
文部科学省に設置された地震調査研究推進本部地震調査委員会が発表した「『全国を概観した地震動予測地図』2007年版」によると、和歌山と大阪の境目にある中央構造線断層帯における30年以内の地震発生確率が最大5%、マグニチュード8.0程度で、本市はレッドゾーンと予測されています。
また、南海トラフを起因とする東南海・南海地震においてもまた、震度6弱以上の地震発生の確率が高く、同じくレッドゾーンとされています。
地震発生時に人的物的被害を抑えることとともに、情報の収集と伝達が重要となることは言うまでもありません。
そこで、地震などの大規模災害発生時において、関係機関や市内各拠点との連絡体制はどう整備されているのか。また被害状況などの情報収集体制はどう構築されているのかをお答え下さい。
また、人的物的被害を抑えるために市が現在実施されている木造住宅耐震診断・改修事業につき、本市における必要性や実施状況についてお示し下さい。
次に救急体制についてお伺いします。
日常、市民の命を守る最前線で活躍されているのが、救急業務に携わっておられる職員の皆さんだと思いますが、現在の和歌山市における救急車の出動件数、現場到着に要する平均時間など出動状況について、全国平均との比較、また10年前の本市状況との比較、および平成18年中の搬送者の傷病の程度についてお答え下さい。
以上、お伺いして、第1問とさせていただきます。
《静川危機管理監 答弁》
大規模地震等による有線回線の途絶や輻輳等通信回線の障害に備え、市の災害対策本部では本市に活動拠点を置く、国土交通省近畿地方整備局和歌山河川国道事務所をはじめ、日本赤十字社和歌山県支部や電気・ガス・鉄道等のライフライン関係機関、放送関係機関、災害拠点病院などの医療関係機関、また各地区の支所・連絡所に相互通信が可能な防災行政無線を設置しています。
災害時には、このシステムを活用して、市の災害対策本部とこれらの機関が相互に情報を共有し、適切な対応ができるよう通信手段の確保に努めているところです。
《木村まちづくり局長 答弁》
東南海・南海地震の備えとして平成16年度から取り組んでまいりました木造住宅耐震診断は、昨年度までに1,276件の診断を行いました。今年度は、8月現在で241件の申込みを受け付け、診断士の派遣を随時行っているところです。また、平成17年度から実施いたしました耐震改修補助事業につきましては、昨年度までの2ヵ年で59件の改修費補助を行い、今年度は、70件の予定件数に対し79件の申込みを受け付け、現在作業中でございます。
この木造住宅の耐震化は、来るべき大規模地震の被害を最小限に抑え、市民の安全、安心を確保するために、大変重要なことと認識し、その必要性の普及、啓発に努めているところです。
《丸山消防局長 答弁》
平成18年中における当市の救急出動件数は、17,159件で、現場到着に要した時間は、平均5分45秒で、全国平均では、6分30秒です。
平成8年中の当市の救急出動件数は、10,904件で、また、現場到着所要時間は、4分23秒でしたが、平成18年中の出動件数は、約1.6倍に増加し、現場到着所要時間も、1分22秒の増加となっています。
平成18年中の救急搬送人員は、16,182人で、傷病程度別では、死亡を含め重症1,207人で7%、中等症4,818人で30%、軽症は10,161人で63%でした。
《再質問》
それぞれご答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
大災害というものは訪れに予告がありません。そして、その規模は自然が相手ですから、予想もつかないものがやってくるかも知れません。
例えば、阪神・淡路大震災の際、阪神高速の高架が横倒しになるなんてことを誰が想像し得たでしょうか。得てしてその被害は、我々の想像を超えることがあります。
有線回線は寸断され、携帯電話も電源が確保できなかったり、基地局の損壊などで使用できないことは想像できますが、防災行政無線も災害時に必ず機能するとは限りません。
また場所によって被害状況も変わってくるでしょう。市内各地それぞれの場所でどのような状況になっているか、避難所の状況はどうなのか、詳細で正確な情報収集をし、的確な判断を下さなければなりません。
そこで最近特に注目されているのが、アマチュア無線愛好家やその団体の協力を得て、情報収集を行い、また内外に対して情報を発信するというものです。
新潟県中越・中越沖地震に見舞われた上越市では、これまでの防災行政無線や、各地の町内会長へ一斉にファックスをするなどの方法で情報を伝達することにしているほか、今年度中に衛星を使った携帯電話を導入するとともに、緊急時の情報通信手段をより多く確保するため、民間の無線愛好者のグループと協力のための協定を結んで、市内の被害の状況や、避難した市民の様子などの情報を収集して市に伝えるほか、市が用意した避難場所や救援物資などの情報を市民に伝えることなどの支援を行うことが取り決められたそうです。
冒頭でも触れた紀州よさこい祭りでも、祭りの模様をアマチュア無線で発信しましたが、沖縄を除く全国と、韓国ソウル、パラオ諸島にまで発信ができました。また最近の無線機器は乾電池でも十分交信ができるものも出ているそうです。
このような現状を踏まえ、本市でもアマチュア無線愛好家やその団体の協力を得て、情報の収集発信をする体制作りをするのがよいと考えますが、当局のお考えをお聞かせ下さい。
木造住宅耐震診断・改修事業について、大地震の際は多くの木造住宅が倒壊し、その犠牲となる方が多いのが実情です。神戸市では、阪神・淡路大震災の際、家屋倒壊による窒息・圧死の割合が死者数の約70%を占めるという報告がなされています。まず命を守れば、街の復興も生活の再建もできます。まだまだ木造住宅の多い本市において、今後耐震診断・改修事業にどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
次に救急体制についてです。
18年度の出動件数は10年前の約1.6倍、現場までの所要時間も1分22秒延びている、また救急車で運ばれた方のうち、約63%が軽症であったとお答えいただきました。
最近、救急車を不適切に、いわゆるタクシー代わりに呼ぶ人がいる、そのために、本当に必要としている方の下へ遅延するという事態も発生していると報道されています。
一例を申し上げますと、駆けつけた救急隊員に保険証を差し出し、「100メートル先に病院があるから、その子を連れてって」と言って熱のある幼児を指さし、ホームパーティーの準備に追われる主婦。子どもの様子がおかしいとの通報で駆けつけてみると、様子がおかしいのはペットだった。「30分後に救急車を1台」という出前の注文まがいの119番通報。1日に2度救急車を要請したことを医師にたしなめられ、「税金を払っているのになんで救急車を使っちゃいけないの?」と言い放った人もいたそうです。
横浜市が昨年4月に実施した調査では、救急搬送した軽症事案の約半数は「不適切な利用」にあたったと報告されています。そのため、横浜市では虚偽の救急車利用者に対して過料を課す条例づくりを検討し始めています。
また、東京消防庁は本年6月から、救急隊員が現場で救急搬送の必要のない患者を選別する「トリアージ」制度を全国で初めて試験運用し始めました。社会の高齢化もあり、搬送の遅れが重大な結果を招くケースが増えていることから、軽度の患者や救急車をタクシー代わりにしようとする通報者には民間搬送の利用を求めているそうです。総務省消防庁も昨年7月から全国の救急搬送にトリアージ制度導入が可能かどうかの検討を始めているようです。
救急車とはその名の通り、傷病者を「急いで救う」ための車です。本市でも先程申し述べたような不適切な利用があるのではないかと危惧しております。
そこで先程答弁していただいた、搬送者のうち約63%の軽症者について、救急搬送の必要がなかった例があったのではないでしょうか。また本市における救急活動は、市民の要請に十分応えられる体制になっているのか現状と、10年間に約1.6倍となった搬送者数に対する対策についてお答え下さい。
以上、お伺いして、第2問とさせていただきます。
《静川危機管理監 答弁》
大規模災害により、有線通信が途絶した場合の情報の収集・発信手段として、アマチュア無線の協力を得ることは、大変有効であると認識しています。
このことから、本市におきましても日本赤十字社や災害ボランティア団体が保有するアマチュア無線を活用した通信訓練等を定期的に実施しているところです。
今後も災害時におけるアマチュア無線の有効的な活用について、その充実を図ってまいりたいと考えています。
《木村まちづくり局長 答弁》
大規模地震の備えとして、今後一層の木造住宅の耐震化を図るためには、耐震診断の実施促進が重要であると考えています。このことから、その必要性の広報や啓発をより効果市民が安心して住宅の耐震化に取り組めるようにする環境整備として、耐震設計や工事の専門家の育成にも県と協力しながら検討、研究に取り組んでまいります。
《丸山消防局長 答弁》
軽症者の救急搬送の必要性については、軽症と診断された方でも、多くは、当初訴えた症状から必要性があったものと考えますが、救急隊員の応急処置や医師による早期の治療を受けたことにより結果的に軽症となったものと考えられます。
本市における救急活動の現状は、10隊の救急隊を擁し、いずれにも高規格救急車を配置し また、救急救命士が乗り組み、現時点では搬送先も十分確保でき、救急活動が円滑に行われていると思います。
救急需要増加対策については、救急需要の増加要因として、高齢化の進展や国民意識の変化によるものといわれていますが、中には緊急性の無いものと考えられる事案が含まれることから、安易な救急利用の抑制を図るため、救急の集いや広報活動を通じて、市民に正しい救急車の利用について、理解を深めていただけるよう努力しています。
《再々質問》
それぞれお答えいただきました。
アマチュア無線愛好家やその団体の協力を得ることについて、災害に打ち勝つため、いわゆる民活を災害対策に加えることは不可欠であります。そのためには普段からの関係作りが大変重要であると考えます。普段から協力を仰げるような体制を組んでいただくようお願いいたします。
木造住宅耐震診断・改修事業について、神戸市が阪神・淡路大震災の後、建設した仮設住宅は4万8300戸、建設・撤去費用は現時点で1700億円程度と、莫大な費用を費やしています。今のうちに耐震改修を施しておくことによって、命が助かり、住宅の確保ができるなど、トータルコストの面で優れていると考えます。
市民の中には、耐震改修しても日常生活の居住性が向上するといった目に見える効果がない、見た目が悪い、費用がかかるなどマイナスイメージもまだまだあるようです。これらを払拭できるよう、働きかけをお願いいたします。
救急体制について、市民の要請に応えられる体制を敷かれていることは、市民にとって大変ありがたいことだと思います。今後もその体制を維持していただくようお願いいたします。
最後に、本市の防災対策について、市長の決意の程をお伺いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
《大橋市長 答弁》
安全で安心して暮らせるまちづくりを目指し、防災対策を推進してきた中で、私はその究極は、尊い命を災害から守る施策を優先し、実行することであると常日ごろから認識しているところです。
昨今各地で大規模な地震が発生し、老朽化した建物の倒壊により、一瞬にして尊い命が奪われると言った悲惨な状況を目の当りにする度、防災対策を急がねばと思う毎日でもあります。
建物の耐震対策は、議員ご指摘のとおりまさに地震防災の第一歩だと改めて感じているところです。
こういった意味におきましても、これまで進めてきた小・中学校や住宅の耐震化を少しでも早く完了させなければならないと強く思うものでございます。
また、災害による被害を最小限に抑えるためには、防災関係機関が十分に連携し、互いに情報を共有することが極めて大切なことであり、日ごろから防災行政無線やアマチュア無線などによる情報収集が円滑に行えるよう、ネットワークづくりを推し進め、災害時にも有効に機能する通信システムの確立が不可欠であると考えています。
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